あらすじ
オリジナル日本SFアンソロジー・シリーズ開幕。完全新作10編(円城塔、北野勇作、小林泰三、斉藤直子、田中哲弥、田中啓文、飛浩隆、藤田雅矢、牧野修、山本弘)+伊藤計劃の絶筆を特別収録。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
良作ぞろい。素晴らしいSFアンソロジー。
「社員たち」★★★☆☆
- 短いジョークSF。会社が地中に沈んだから掘る。
「忘却の侵略」★★★★★
- 理屈っぽい僕の妄想おバカSFかと思いきや、しっかりガチめのSF設定で満足。
- 地球はいま異星人に侵略されている。しかし、その侵略者は誰にも観測されていない。姿を消すことができる?否、記憶を消すことができる。そんな異星人との戦い。
「エンゼルフレンチ」★★★★★
- ロマンチック宇宙SF。探査機に意識をコピーした後死んでしまった彼。
「七歩跳んだ男」★★★★★
- 史上初の月面殺人事件。月面基地に旅行に来た有名作家が殺された。
- ハードSFであり、都市伝説や陰謀論に騙されやすい作家が月面には大気があるというデマに騙されて基地から飛び出して死亡した…とみせかけた殺人事件。しっかりとミステリーになってて最高。
「ガラスの地球を救え」★★★★☆
- おばかSF。宇宙に浮かぶSCI-FIランド。展示物のひとつである実物大の戦艦ヤマトで、地球に襲い掛かる地球外生命体に波動砲をお見舞いする。
「隣人」★★★★☆
- 奇妙系グロSF。隣に引っ越してきた隣人は家で家畜を飼い始める。迷惑隣人は人間の姿をした怪物?徐々に狂っていく周りの人々と自分。
「ゴルコンダ」 ★★★★☆
- 不幸の手紙をパロディーしたライトなSFコメディ
- 不幸の漢字が下手だったために「梓」になってしまい、先輩の奥さんの梓が増殖する。
「Beaver Weaver」
- 難解につき、スキップ。円城塔はいつだって難解。
「自生の夢」
- 既読
「屍者の帝国」
- 既読
Posted by ブクログ
気が向いたときだけ買っている『NOVA』である。
1970年代、「SF」といったら「SM」に間違えられて、という自虐ネタがよくあった。
では、SFとは何か、というのも昔から問われてきた難問である。村上春樹からしてSF的設定で小説を書き、それがベストセラーとなっている昨今、かつての筒井康隆会長の日本SF大会のテーマ「SFの浸透と拡散」はすでに現実のものとなった。ところが逆にコアなSF短編の発表舞台が乏しくなったと考えた大森望が、アメリカでは昔からあるが、日本にはさっぱりないオリジナルSFアンソロジーを編んだのが本書『NOVA1』。10まで続くらしい。
北野勇作「社員たち」、田中哲弥「隣人」は不条理ものと括れそうだが、これがコアなSFといっていいのか? 藤田雅矢「エンゼルフレンチ」は宇宙を舞台にしたラヴ・ストーリー、田中啓文「ガラスの地球を救え!」は馬鹿馬鹿しいパロディ、斎藤直子「ゴルコンダ」はほのぼのとしたアイディア・ストーリー、面白いけれどSFとしては傍流だなあ。
月は遠くて近いSFの古典的舞台。しかし、月面で起きた初の殺人事件を扱う本格推理小説というのはありそうでなかったかも。山本弘「七歩跳んだ男」。しっかり、「と学会」ネタが使われている。
SFはセンス・オヴ・ワンダーだといったのは誰だっけ? その意味では小林泰三には唸らされた。「忘却の侵略」は遭遇しても記憶に決して残らない宇宙生物(か何か)と戦う、量子論的SF。
すでに発表された傑作を集めたアンソロジーではなく、編集者の求めで書いてもらったアンソロジーだから、まあ、レベルはこんなものかと思っていたら、後半ぐっと密度が高まり、一般誌には載せがたいだろうという、しかも今日的なSFが並ぶ。小説をメタ・レベルにもっていくというアイディアは昔からあるけれど、次の3作はいずれも記述すること、語ることが世界を作るという、いわば言語中心主義的SFであり、しかも三様に違っている。
既知外生命体にテキスト改編という攻撃方法で挑む戦隊ものというとんでもないのが、牧野修「黎明コンビニ血祭り実話SP」。しかもテクストで相手を攻撃するというのはすなわちスプラッター描写。円城塔「Beaver Weaver」は数学的フレーヴァーを振りかけた、スペース・オペラの語り/騙り。飛浩隆「自生の夢」はGoogle時代のサイバーパンクの如きもの。語ることと読むことが問題となる。
最後に伊藤計劃の未完の長編『屍者の帝国』の残された冒頭部分で、このアンソロジーはいまだ語られていない世界に開かれる。もっともその後、円城塔によって語られてしまったが。
とりわけ語り口の個性と洗練、そしてある種の強さを感じさせたのは円城塔と伊藤計劃であった。
Posted by ブクログ
結構面白かった。メタフィクションが多いのは時代の流れか。以下作品毎に記す。
『社員たち』
世紀末ものと寓話を掛け合わせて現代への風刺…てな感じでなんとでも言える。感激はしない。
『忘却の侵略』
全く新しいタイプの侵略者に対して主人公の武器は…というのは非常に楽しく、それが現実的であるか否かという発想はエンタメに対して失礼というものだろう。
『エンゼルフレンチ』
一歩間違えばサブカルに振り切りそうな物語を、ただミスドという一点で支えきったかのような作品。
『七歩跳んだ男』
まあ、西澤保彦の『七回死んだ男』のもじりだろうか。トリックに関してはなんかごちゃごちゃ言ってるぞという感じで、間に挟まるいつもの山本弘の小話もなんかごちゃごちゃ言ってるぞてな感じで。
『ガラスの地球を救え!』
アベベ・セイメイ、手塚治虫の亡霊など最初から最後まで脱力系SFだった。
『隣人』
もはやこれもメタフィクションと言っていいだろう。文章的モンタージュによって現実と狂気を切り刻み、混ぜ合わせる。
『ゴルコンダ』
どこか七〇年代SF少女マンガの遺伝子と香りを感じる一作。この短編集では珍しく平和な小説であった。
『黎明コンビニ血祭り実話SP』
この短編集の中で、一番期待していた作品であり、一番期待を裏切られた作品であり、一番好きな作品。これもメタフィクションであり、文章改変により現実へ作用して攻撃してくる敵を、同じく文章改変によって駆逐する。その戦闘描写は圧巻であり、スピード感、緊迫感が地の文章の改変により読者に直接的に伝わる。まるでこの戦闘を目の前で見ているような…いやまさにこの戦いは僕らの目の前で起きてるのだ。この本の中で。
『Beaver Weaver』
途中で読むのを断念。円城搭は僕には早すぎる。
『自生の夢』
僕がアホなせいかもしらんが、オチがよくわからんかった。
『屍者の帝国』
やはり面白く、序章だけで冒険の匂いが香りたち、この天才の死を惜しむことしかできない。
Posted by ブクログ
一切のハズレなし。
田中哲弥から飛浩隆までの、特に牧野修から飛浩隆までのニューウェーブSFの並びは単なるアンソロジーとも言い難い、奇妙な連帯感があって面白い。購入目的だった円城塔も、独立した本であれば「外道的ジャンル」として楽しめてしまう彼独特のエンタメ性が仇となった感が強く、霞んでいたが、一連のまとまりの中に放ると一気に底上げされて見える。言い換えれば単体だけだとつまらないってことですけど…はりきり過ぎてすっ転んだ後ろ姿を見ているような、ファンとしては悲しい気持ち。
短いながらも微妙な後味が尾を引く北野勇作「社員たち」、キッチュな雰囲気むんむんのタイトルに反して密なグロ描写がこれでもかと続く牧野修「黎明コンビニ血祭り実話SP」、読みにくい作りながらも目の離せない、静かな昂揚感が何時の間にか確かな昂奮に変わっている飛浩隆「自生の夢」が個人的にはツボだった。
Posted by ブクログ
北野勇作「社員たち」
小林泰三「忘却の侵略」
藤田雅矢「エンゼルフレンチ」
山本弘「七歩跳んだ男」
田中啓文「ガラスの地球を救え!」
田中哲弥「隣人」
斉藤直子「ゴルコンダ」
牧野修「黎明コンビニ血祭り実話SP」
円城塔「Beaver Weaver」
飛浩隆「自生の夢」
伊藤計劃「屍者の帝国」
Posted by ブクログ
1作品のみ既読。
後半4作品はワケワカメ系の大手だからね…
あまり無理して作品の真意を追おうとすると
ものすごく疲れるだけなんだよね。
哲学が絡む仕業もあると思うよ?
イチオシは長い時を超えた恋が実を結ぶ
「エンゼルフレンチ」ね。
これは何かと殺伐とした救えない作品が多い中で
本当に救われる作品です。
ほかの作品は…スカが絡む(本当)が
あったりとえげつないですので…
Posted by ブクログ
P335の「この春が、初めて迎える春のような気がしたことは。この夏が、初めて迎える夏のような気がしたことは。この秋が、初めて迎える秋のような気がしたことは。この冬が、初めて迎える冬のような気がしたことは。この季節がそのどれでもないと思えたことは。かつてない暑さで、かつてない寒さで、これまでに経験したことのない、その度ごとに新しい、かつて経験したことのない、冬1、冬2、冬3だと感じたことは」というセリフに心臓をわしづかみにされた。電車の中で目にして、頭の中がかきまわされて興奮して、自転車置き場に行っても自転車がみつからなくて、スーパーに寄っても満足に買い物ができなくて、1時間ぐらいぼーっとしてた。""
Posted by ブクログ
果してここに収録されている短編はSFなのだろうか。
SFというにはS(科学)の占める割合が極端に少ない(あるいはまったくない)ようにも思える。
ファンタジーというか、超現実的というか。
筒井康隆氏のスラップスティック的作品と同傾向の作品が目立つ気もする。
まぁ、そんな筒井康隆氏も日本SFの元祖の一人として認知されているので、ここに収められた作品群もSFというカテゴリーに含まれてもいいのかも知れない。
SFということに拘らなければ結構面白い作品が多く収録されていた。
特にメタフィクション的な作品が面白く、その中でも飛浩隆氏の「自生の夢」が心に残った。
一番ダメだったのは円城塔氏の「Beaver Weaver」。
どうしても衒学的な印象が強く、乱暴な言い方をすれば、難しい単語を羅列して屁理屈をこねくり回せるだけこねくり回してみました、って感じがしてしまう。
その円城塔氏が完成させた故伊藤計劃氏の「屍者の帝国」は既読。
未完でありながら、群を抜いて面白くなりそうな予感を孕んでいる。
孕んでいるのだが、後を引き継いだのが円城塔氏なので、読むのが怖いんだよなぁ。
Posted by ブクログ
SFにそれほど強くはないのですが。
やっぱり、伊藤計劃さんの物語力は凄いと思った。本当にその死が惜しまれる。
『かめくん』が大好きなので、北野さんの作品が読めたことも嬉しかった。
Posted by ブクログ
マズい。もしかしたら円城塔は合わないかもしれない。伊藤計劃の次に手を出すつもりにしていたんだけど……ちょっと好きかなーと思う雰囲気はあるんだけど。あるんだけど先にしんどくなってくるので読んでて辛い。
おもしろかったのは小林泰三『忘却の侵略』と飛浩隆『自生の夢』。
とくに『自生の夢』はよかった。一読では流れが分かりづらいものの、読み進めてつながりが見えてくる辺りからの引き込み方がすごい。登場人物(といっていいのやら)も魅力的。
それにしても伊藤計劃は惜しすぎる。
続きが読みたい。しかし合わなそうな気配がしてきた円城塔との合作を読むべきか、今のままで置いておくべきか。悩む。でも続きが気になる。
Posted by ブクログ
短編SFのアンソロジー。新人作家よりも癖があって尖ったのが多い。というか遊んでる。
良かったのは飛浩隆「自生の夢」くらい。あとは藤田雅矢「エンゼルフレンチ」、山本弘「七歩跳んだ男」と斉藤直子「ゴルコンダ」が普通に読めたくらいで、残りはご勝手にという感じ(ただし伊藤計劃「屍者の帝国」冒頭は除外)。
「自生の夢」は、多くの殺人を犯して収監されていた間宮潤堂と、高度情報社会に生じた事件”忌字禍”をめぐる物語。ややとっつきにくいけれど、比較的理解しやすい。拡散していく展開と、間宮と”インタビュアー”との緊迫したやり取りに気を取られている間に、ふっと足をすくわれて言語の世界へと引きこまれてしまう。想像力の向こう側にあるような、そんな作品だった。
Posted by ブクログ
「自生の夢」を目当てに読みました。期待を少しも裏切らず、間違いなく★5
アンソロジーって、思いもよらなかった話に出会えてうれしい。しかもSFなので安心して楽しめる。
Posted by ブクログ
書き下ろしSF短編アンソロジー。
飛浩隆は気になってて未読だったけど、「自生の夢」にはやられた。面白い。
円城塔「Beaver Weaver」、小林泰三「忘却の侵略」、斉藤直子「ゴルコンダ」あたりも面白い。
全体に「言語による現実改変」ってハナシが多かったなあ。
伊藤計劃の絶筆「屍者の帝国」は、すごいな。円城塔による続きがどうなってるか、気になりすぎる。
Posted by ブクログ
SFの書き下ろし短編集。
田中哲弥目当てで読んだけど、他にも面白いのがあった。
ちなみに田中哲弥は「隣人」って短編を書き下ろしてた。最高。はた迷惑な一家が隣に引っ越して来るという不条理系で、現実の認識が交錯していく筒井的な表現方法。
他では、山本弘の「七歩跳んだ男」、斉藤直子「ゴルコンダ」、飛浩隆「自生の夢」、小林泰三「忘却の侵略」が面白かった。
「七歩跳んだ男」は、月面での殺人事件を取り扱ったミステリー。トンデモ系かと思ったら、本格派SFでビックリした。ミステリーとしても良く出来てる。
「ゴルコンダ」は、妻が11人に増えるというドタバタコメディ。主人公の軽さが、軽快さを演出していて面白い。
「自生の夢」は、未来的なクラウドシステムが、自立型のウイルスに侵食される話。広がりきったヴァーチャルなデータベースは、第二の自然であるという世界観が面白かった。
「忘却の侵略」は、シュレディンガーの猫をモチーフとした、量子力学的なロジックで描かれたインベーダーもの。一見小難しそうに見えて、理解しやすいように表現されているのが好印象。
あと、編者が『文学賞メッタ斬り』の人やと、読み終わってから知った。
Posted by ブクログ
書き下ろしのSF短編集であり、現在日本のSFの第一線にいる方々の作品を収録。なんと言っても目玉は、故伊藤計劃さんの「屍者の帝国」の遺稿。未完ではあるが、スチームパンク風のイギリスを舞台に、ワトスンが語り手となる本作は、ホームズシリーズの読者ならにやりと来る事請け合い。
あと印象に残ったのは、悪い意味では田中啓文さんの「ガラスの地球を救え!」。良い意味では円城塔さんの「Beaver Weaver」と飛浩隆さんの「自生の夢」
ガラスの地球はとにかく汚い(ゲロ的な意味で)。あと、これでもかというほどパロディで埋め尽くされている。訴えられないかと心配になるほどに。
「Beaver Weaver」はよくわからない世界観だけれど、その裏にある理論は面白い。
「自生の夢」はGoogleとtwitterと他色んな者を混ぜ合わせたら、とんでもない怪物が生まれたとう感じ。視点移動が多用され、先が気になる。
Posted by ブクログ
大森望さんが編集したSFアンソロジー集。笑いあり、ホラーあり、スペースオペラあり、SFミステリありと多種多様。お気に入りは山本弘「七歩跳んだ男」、斉藤直子「ゴルコンダ」、伊藤計劃「屍者の帝国」。「七歩跳んだ男」はこう来るかというどんでん返しで見事にだまされました。「ゴルコンダ」は癒し系のドタバタコメディ。是非とも梓さん1人ほしいです。「屍者の帝国」、この先どのような展開が待っていたのでしょうか。亡くなられたことが惜しまれる序章です。
Posted by ブクログ
難解な作品がいくつかありましたが、総じて面白かった。
読んだことのない作家さんの文章にも触れられてよかったです。次に誰の本を読むかの指針にもなりました。
しかし、屍者の帝国面白かったなー……
Posted by ブクログ
ほとんど面白い。
特に牧野修「黎明コンビニ血祭り実話SP」~円城塔「Beaver Weaver」~飛浩隆「自生の夢」と続く編集者いわく「微妙にシンクロしている」かのような文学でしか表現できないタイプの作品がすごかった。
田中哲弥「隣人」は幻想的な描写になっていくSFというよりもマジックリアリズムのような作品で、この人を知れたのは収穫。
Posted by ブクログ
SFにちょっと興味をもって読んでみたものの読みやすいものと読むのが苦痛なものとが半々でやっぱりSFは合わないかなーと思ってしまった。やっぱり自分にはSFというかすこしふしぎぐらいがあってるのかもしれない。
Posted by ブクログ
我以一句话表现各自的故事。『社員たち』不安,『忘却の侵略』不确定,『エンゼルフレンチ』纽理论,『七歩跳んだ男』怪秘,『ガラスの地球を救え!』冒险,『隣人』静的恐怕,『ゴルコンダ』平行,『黎明コンビニ血祭り実話SP』丑怪,『Beaver Weaver』難解,『自生の夢』言灵。『屍者の帝国』没完。
Posted by ブクログ
SFアンソロジー。
『Beaver Weaver』は途中で挫折。
お気に入りは以下の作品。
山本弘『七歩跳んだ男』
西澤保彦の『七回死んだ男』が好きなので、タイトルでやられました。内容もまさにSFミステリー!
田中哲弥『隣人』
面白いんだけども…SFなの?
飛浩隆『自生の夢』
理解できてないけど、ページをめくる手が止まらなかった。
Posted by ブクログ
「忘却の侵略」「自生の夢」面白かった。「BeaverWeaver」読めませんでした。「ガラスの地球を救え!」どうしよう、好きじゃないのに忘れられない。
Posted by ブクログ
本格、奇想、幻想、純文学、ミステリ、恋愛…SFというジャンルが持つ幅の広さと可能性を詰め込んだオリジナル・アンソロジー。完全新作10編+伊藤計劃の絶筆を特別収録。
(BOOKデータベースより)
***
〈2〉は既読。
2よりもちょっと難しくて、思いっきり理系な話が多かったという印象。
「社員たち」北野勇作
地中に埋まった会社を掘り返す話。うーん。可もなく不可もなく。
「忘却の侵略」小林泰三
面白かったけど、ちょっと?となる部分も。
「エンゼルフレンチ」藤田雅矢
好き。胸きゅんと切なさと。
「七歩飛んだ男」山本弘
読みやすく、面白かった。宇宙での殺人事件、もっと長く読んでみたい。
「ガラスの地球を救え!」田中啓文
面白く、最後は大森さんの解説通りになりました(笑)こういう流れに私は弱いのです。
「隣人」田中哲弥
こういうの、作り話でも本気でイライラしてしまう。
「ゴルコンダ」斉藤直子
主人公に若干イラっと。話は面白かった。
「黎明コンビニ血祭り実話SP」牧野修
よくわからなかった。*2はどこにつくの?私が見つけられなかっただけ?
「Beaver Weavr」円城塔
難しかった。。。
「自生の夢」飛浩隆
難しかったけど、好きな雰囲気。最後の真相がなんとも。
「屍者の帝国」伊藤計劃
ものすごく楽しめそう。続きが読めないのがただただ哀しい。
Posted by ブクログ
伊藤計劃の名でこの本に魅かれたが、「SF」という分野を初めて特化して読んだ。さすがに違和感だらけ。2、3度読み込まないと僕の読み方では理解しきれない。しかし、新鮮味があって、何人かの作家の作品は読んでみたいと思った。個人的には、山本弘氏、飛浩隆氏が良かった。
Posted by ブクログ
読みやすいモノと読みにくいモノの差が激しすぎる。ここらへんがSFが人気が出ない原因かもなぁ。ちなみに私のお気に入りは「忘却の侵略」と「エンゼルフレンチ」。それにしても絶筆の「屍者の帝国」は大傑作になりそうな気配がするだけに、惜しすぎる。
Posted by ブクログ
大森望氏による新世代のSFアンソロジーの第1弾。変化球がやけに目立つ…というのが第一印象。大森氏の前説によると、SFが広義なものになりつつある現在だからこそ、もっとジャンルとしてのSFを意識したアンソロジーを…みたいなコンセプトらしい。なので、SF初心者には結構なハードルの高さを感じるかも。目録じみたカタログめいたカジュアルな装丁につられて、ナニも考えずに手を出すと大変なことになるかも。
前半では、山本弘氏「七回跳んだ男」が面白い。月面殺人事件という、滅法読書欲をそそられる題材で、SFというより現在の科学理論に加え、十八番のトンデモ科学批判を織り交ぜたミステリに仕上がっている。同じく前半では、田中哲弥氏の不条理ストーリー「隣人」も良かった。田中氏は初体験なのだが、出だしからしてかなり肌に合う感じ。最近のSF作家は文章に魅力がある…と常々思っていたので、その考えをさらに補強してくれたような印象。ただし汚物表現はなんというか、ビジュアルがビシバシを脳裏に浮かんで結構キツかった。汚物描写で云うと、平山夢明、小林泰三といった作家を思い浮かべてしまうが、氏らの汚物表現がグラデーションとするならば、田中氏には明瞭なコントラストを感じる。ジワーじゃなくてバン!どうやら自分はバン!への耐性が低いようだ。修行しなくては。
オードブルな前半に対し、後半はメインディッシュが勢揃い。先ずは魚料理…とばかりの斉藤直子氏「ゴルコンダ」がいい。これも一種の不条理ものだが、実にいい。兎に角いい。何というか、文体含めてユルっとフワっとした世界観が心地好い。梓さんの妖精の粉を被ってみたい。
続く肉料理、牧野修氏の戦隊もの「黎明コンビニ血祭り実話SP」もいい。どうしようもない題名だが、事象をテキストに解体、再構成して戦うジューシーフルーツ戦隊のスプラッターな活躍が楽しい。
飛浩隆氏「自生の夢」は兎に角もう圧倒的。他作品におふざけ系ユーモア系が多いためか、余計にその真摯な鮮鋭さが目立った。これもまた牧野氏と申し合わせたような「言葉=テキスト」にまつわる話で、位相と位相がせめぎ合う世界観がたまらない。
そして最後に編まれた伊藤計劃氏の絶筆「屍者の帝国」。冒頭の二行からして力強いなあ!ホンっと惜しいなあ!