主人公・花田和巳(はなだ かずみ)、36歳。
脱サラして、現在の職業はフリーの作詞家。
8年前、婚約していた女性に裏切られたことをきっかけに、恋愛感情そのものを封印してしまいました。
そんな彼が、ある日ふらりと立ち寄った引っ越し先近くのスーパーマーケットで出会ったのが、レジ打ちの女子高生・志乃崎純(しのざき じゅん)。
黒髪を束ね無駄のない動きでレジを打つ彼女は、どこか大人びていて、でもどこか無垢。
実は彼女もまた、「恋愛感情を抱いたことがほとんどない」という、恋に対してどこか距離を置いた存在でした。
「恋を諦めた大人」と「恋を知らない少女」。
年齢も立場も違うふたりが、レジカウンター越しに少しずつ心を通わせていく――年の差ラブストーリー!!
主人公の和巳と純の年の差はおそらく18歳。そんなふたりが恋に落ちる瞬間をじっくりと丁寧に描いた作品です。
年の差ラブストーリーの名作は多数ありますが、この物語はそれらに引けを取らない面白さ。
物語を読み解くポイント3つご紹介します!
まず1つ目に、タイトルにもなっている「レジスタ」に注目。
和巳と純の関係はレジカウンター越しに展開されます。
この“物理的な距離”が、ふたりの心の距離を象徴していると言えます!!
レジという日常の中で、ほんの数秒のやりとりに込められる視線、言葉、様々な思い…!!
この距離を踏み越えることができるのか!?そして、どう超えていくのか…非常に注目です。
2つ目のポイントは、恋愛がテーマながらガツガツしすぎていないところ。
「ときめき」や「甘さ」はありつつも、恋愛を諦めた男性と恋愛を知らない女子というふたりが‟誰かを想う“ということに対しどう向き合っていくのかをじっくり描いており、その様がとてもリアル。
恋愛をしなければいけないという押し付け感はないのに「恋愛って良い…」と思わされる展開に脱帽です。
そして3つ目は、おじさんである和巳、最後の恋であること。
「もう恋なんてしない」と思っていた人が、「もう一度だけ、誰かを好きになってもいいのかもしれない」と思う。その心境の変化に理由なんてないし、恋に落ちるのは一瞬。それを見事に描いています。
それでいて勢いで恋を発展させるのではなく、その先の一歩を踏み出せないところも、大人の恋のリアルではないでしょうか。作詞家という職業柄なのか和巳自身、己の心情を言葉に落とし込んでいくのですが、的確かつ詩的なところもポイント高いです。
若者の恋愛とは違う、静かに少しずつ気持ちを積み上げていく様は、正に大人の恋愛。これぞ恋愛“再起”ストーリーです。
「恋って、こんなふうに始まるのかもしれない」
「誰かを想うって、こんなにも優しいことだったんだ」
そんな気持ちが、じんわりと胸に広がります。
「もう一度だけ、誰かを好きになってもいいですか?」
そんな問いにそっと背中を押してくれる作品です。