あらすじ
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個人所有の日本庭園の数が限られ、そこを手入れする仕事も激減するなかで、職人本来の心意気や技術を伝えられる場も少なくなっています。
確かな技術を身に付けている先輩がおらず、若い人たちだけでこなす現場も増えているようです。
現場の機械化や効率化が進み、庭師の本来あるべき姿や仕事のやり方は忘れられがちです。
昔堅気の粋な職人のワザと堅実な技術を持ち、後輩に的確な指導ができる庭師(植木屋、造園屋さん)は確実に高齢化しており、
“今私たちが次世代へ、先代から教えてもらった貴重な庭づくりのワザを伝えなければ、ここで途絶えてしまう”という危機感を持っています。
――そんな貴重な先達のひとりである著者は、日々の仕事のやり方を精緻な手描きの図でコツコツと描きためてきました。
本書はその図と職人ならではの技術を無駄のない文章で語った解説で、
職人の身だしなみから樹木の剪定、結び、石打ちまで、庭づくりに必要な技術のひとつひとつを一冊にまとめました。
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Posted by ブクログ
〈本から〉
私は、目に映るものすべてのものを師匠と思いたい。特に自然の景色は、植木屋には良い手本だ。自然に接する機会を多く持ちたい。華道、茶道はもちろんのこと、街を歩いていて見るものはすべてがお手本。疑問を持ったとき、自分ならどう判断するかかを考えるだけでも勉強になる。
少なとも作業服に脚絆、地下足袋、できれば半纏を着込んで作業に臨めば、良い仕事をしなければと気が引き締まる。
手袋着用などはもってのほか。それほど作業効率は変わらないと思うが、手作業は指の皮膚で感じながらするのが一番。汚れる、傷むなどは二の次。それが職人気質だと思ってる。
作例13 パーゴラとベンチのある中庭
天空にパーゴラを設けることは、意外な効果がある。
自然風植栽という考え方
(略)
1つ目は、自然の中には直線がないということを基本の考え方にする(実際には存在する。作庭の中でも、ときどき直線を故意に設けることで、心地よい緊張感も生まれ、良い結果になることもある。)自然の景色を作るときには、直線をつくらないと考え、例外として塀、通路、生垣などは除き、白の石垣、畑の石積みなどの風化した景色は、直線であっても自然と捉えて用いることとする。
2つ目は、素材を配置するときには、まず1本、あるいは1個と考え、次には3本(3個)とし、2本(2個)とは考えないことだ。樹木、庭石などを配置するにあたって1本、あるいは1石を基本に配置し、2本、2石を配置することは、誰が扱っても直線的に三重、1つ目の定義に反するため避けること。
3つ目は、素材の等間隔、視点からの等距離を避けること。以上の3つの定義を総合してみると、2つ目の組み合わせは避けなければいけないことから、1つ以外は3つの組み合わせが基本となり、当然、不等辺三角形に配置しなければいけないことになる。
木表(きおもて)と木裏(きうら)
気勢
以下、略。