あらすじ
警察庁統計外暗数犯罪調整課は、通報に至らず見過ごされた犯罪を調査することを目的として設置された。所属する坎手正暉(あなて・まさき)警部補が共助者である静真(シスマ)と共に調査に出向いた浅草で、2年前の拘置所火災で死んだはずの囚人が新たに死体となって発見される。正暉と静真、2人が出会うきっかけとなった拘置所火災の現場で何が起きていたのか――。2人が過去の謎と対峙する間も、浅草で起きる犯罪は不穏さを増していく。その影に蠢く悪意の存在を、静真は自らの能力をもって感じ取っていた……。
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Posted by ブクログ
今になって神野さんが自転車を盗んだ理由が分かるなんて。今分かっても何も出来ないのが悲しい。
あの時、永代さんに補導する以外の選択肢は無かったけど、その時理由が分かればどうにか出来たのではという後悔。辛い。
土師家は家を建て替えた時には手遅れなような。
一番人が怖いと思った場面。
百愛部は、皆規さんは静真を選んだと言ったが静真を選ばしたのは百愛部だなと思った。
百愛部は死にたくない、助けてと言いながら自分の影響で他人が死んでも自分は悪くない、しょうがないと言う。
生まれ持った過剰共感能力はしょうがないと思う。育った環境も悪かったのかもしれない。けど、それでもあまりにも身勝手ではないかと思う。
永代さんは怒りに飲まれても理性が大分残ってた。百愛部を殺す前に坎手さんが間に合って良かった。永代さんが誰も殺さなくて、永代さんが死ななくて良かった。
皆規さんが最後、坎手さんに言った「君はもう戻ってこなくていい」の意味が分かって泣いた。
自分はもう助からないから、ここはもう危ないからという意味だと思ってた。それもあっただろうけどそれだけじゃない。
皆規さんは最後の最後まで人を助けてましたね。
そんな人だから慕われる。疑われても信じる人がいる。
Posted by ブクログ
近未来警察小説ですが、わたしにとっては祈りの物語でした。「更生させる」と言葉で言うのは簡単かもしれないけど、それを成すためにはものすごい労力とか忍耐が必要だなと思う。そしてなにをどうやってもわかりあえない人間というものもたしかにこの世には存在するのかもしれないと思ってゾッとした。巻き込まれて失われていった人たちを思うととてもつらいけど、残された人たちは亡くなった人たちに恥じないように生きてほしい。それが亡くなった人たちへの弔いだと思うから。最後の皆規のセリフで泣きそうになりました。
そして相変わらず吉上先生の暴力の描写は容赦がなくて背筋が凍る。
続編があるのでしょうか?静真と正暉の物語がまた読みたいです。
Posted by ブクログ
とても面白かった。百愛部の捜索からの永代の逃亡は全くの予想外の展開で驚いた。構成がすごくて一気に読み進めた。
「正義は、状態ではなく行為を指すーー。」という憐のセリフや『人が人間として生きられるのは、自分や子どもたちが次の年、そして何年後と生き続けているだろうと思える環境のなかでだけなのだ』という引用が印象的。ラストが死にゆく皆規視点で語られるのに、希望が満ちあふれているように感じた。