あらすじ
元俳優の海里は、小説家の淡海が書き下ろした作品の朗読に挑むことに。しかし自分の演じる役柄に感情移入できずに悩み、淡海の小説の取材に同行することに。「演技」に真正面に取り組む海里の答えとは……。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
聴了。
今回のお話も切なくて愛おしい。淡海先生に大きな変化が訪れます。海里さんの事件と並行して進むので、どこに落ち着くのかとふわふわしましたが、海里さんの件は持ち越しでした。
Posted by ブクログ
今までで一番好きな巻になりました。
こう、相互理解の難しさが色んな角度から切り取られているように思います。
表に出てくるものが全てではないのに、わたしたちはそれを元に判断することしかできないというか。
『夫』の思いがわからない海里も、奈津さんと一憲兄ちゃんの葛藤もそこにある。
だからこそ、思っていることを話し合う必要性もあるのかなと。
「心の成り立ちを知らずして、他人の記憶を正しく理解することはできない」
これがすごく刺さりました。
淡海先生の純佳ちゃんへの思いが深くてとてもすきです。
ひんやりとしてあたたかい
海里を応援しながら読んでいる。読んでいて淡海先生の言葉が石田彰さんの声で聞こえていたんだけど、今回、その理由が分かった気がする。ホラーじゃない方面で冷んやりとした。寂しさもあるだろうけどそっちに行かなくてよかったな、と。
Posted by ブクログ
淡海五朗と一心同体化していた亡くなって妹の気配が無くなった。海里が、倉持悠子と演じる朗読劇の役が掴めず、悩む回です。
役作りでは、倉持悠子は、自分の経験から役を相続すると言う。朗読劇は、不倫された妻を演じるが、彼女は、昔、二股をかけられた経験を元にひていると。
海里の役は、その夫。妻がいながら、不倫をするが、それが悪いことだと思っていない。海里は、それがどうしても理解できず、その役を嫌悪しながら演じ、悠子に指摘される。
Posted by ブクログ
先生と妹との別れが寂しさもあり温かくもあった。
最後を朗読と料理でサポートする3人もまた良い。
このシリーズは割とどこから読んでもいいタイプかなと思っていたけど、このお話はやっぱり前作なりを読んでからの方がいいなと思った。
Posted by ブクログ
久しぶりの「最後の晩ごはん」シリーズ。
朗読劇の登場人物に感情移入できない海里。
その朗読劇の原作を作った淡海の死んだ妹の気配が消えて。
加えて一憲と奈津の夫婦にも悩みと新たな決断もあったりで。
今回も内容の濃い物語でした。
それぞれが決断の後新たな未来へ進む。
これらを経て海里もまたどのような影響をもたらすのか。
次のシリーズも楽しみにしていたいと思います。
Posted by ブクログ
このシリーズもいったい何冊読んだことだろう。今回のお話は、新しい幽霊こそ出てこなかったけど、夏神さんは古き良き日本の味を再現して発信することに日々努力し、海里は朗読という分野で試行錯誤しながらも奮闘し、それぞれが暗中模索だったシリーズ初期のころを思うと、自分のやりたいことに向かって進んでいる感じがあっていいなあと感じた。
大切な人との別れ、それも相手の幸せを願う上での別れ。黙ってそっといなくなろうとした彼女に「ちゃんとお別れを言ったほうがいい」と助言した海里。大切な人がいなくなったあとにできた心の大きな穴を、その人がきちんと他のことで埋めて生きていけるように、きちんと別れを告げたほうがいいというその考え方。いいと思うな。そのほうが別れた時はつらいけど、きっと次に向かって歩みだしていけると思う。
そして、反対にそういう別れ方ができなかった夏神さんの苦しさ、悲しさも感じる。
別れ、思い出、愛、そんなことを考えさせられた、ちょっと大人な『最後の晩ごはん』でした。
Posted by ブクログ
シリーズ第15弾。
今回もすごく良かったです。
しっかり、幽霊さんの思い出ご飯のお話しもあります。
このシリーズに於いて大事なキャラクターである、小説家の淡海先生の妹が、この幽霊。
大好きな兄の為に、ある決心をする。
主人公、五十嵐海里の兄夫婦のお話しも、本当に心に響いて泣ける。
色々あるけど、一歩一歩、前に進んでるなぁ。
海里の朗読劇への挑戦も、前進してますよ。
このシリーズ、ホロリと泣けるんだけど、元気の出る作品たちです。
淡海先生、ちょっと……
海里君と、倉持さんの為に。書き下ろされた朗読劇が、なぜ、妻と愛人の二股かけてる夫と、その妻の会話なのよ。もう少し、それらしい話は、無かったのかな?難易度高過ぎなんじゃない?けど、若者は、悩め!悩め!そして、大きくなれ!
純佳さんなるほどねー
純佳さんがいることで、淡海先生が無敵になっちゃって、周りの人に対して雑になる…っていうのは、なるほどっていうか、鋭い観察眼。アドリブの演技の利かせ方といい、彼女ただ者じゃないね!!
確かに、何冊か前に淡海先生が海里くんにやったことはホントに許しがたかったから、それで純佳さんが「兄貴このままじゃヤベエ」って思うのは無理ないかも。
淡海先生だめだよねー、今回本当に腹が立ったわ。海里くん達が純佳さんのことで突っ込んだら、「この前の意趣返しなら甘んじて受けるべきかもしれないけど、でも妹のことだけは!」ってキレそうになるし。え?じゃあ、海里くんにとって「芸能界のことだけは!」ってとこは無視なの?相手の一番大事なとこ、自分は確信犯で刺しといて、自分の大事なとこだけは聖域扱いなの?って思った。うん。純佳さん、お仕置きして正解。突き放して正解です。先生、もうちょっとシッカリすべきです。
あ、そして、海里くんの兄ちゃんと奈津さんの妊活終了騒動も、ビッグな話題でした。そして、出した結論が良いですね。特別養子縁組って、なんか最近の小説にやたら出てくる気がする…ジェンダーとか発達障害とかと同じで、そういう要素を小説に登場させる流行りかなーと思うけど、それで理解が広まるのは良いことだと思います。
Posted by ブクログ
最後の晩ごはんシリーズ、第15弾。
元タレント・五十嵐海里(いがらしかいり)は、定食屋で働く一方、演技のレッスンをしてくれる倉持悠子(くらもち ゆうこ)と共に、朗読劇に取り組んでいる。
「ばんめし屋」の常連客でもある作家・淡海五朗(おうみ ごろう)による脚本だが、海里は自分の役である登場人物に共感できず、どう演じていいのか悩む。
今回のお話は、この、海里の「役を自分のものにできない悩み」が軸になるのだろうと思ったが、自分的になかなか難しい読みだった。
作者の意図を勘繰ったりせず、素直にエピソードに感動したりすれば良いのだが、なぜか今回は、「戦争体験を語る人の話は、本筋にどう関わりがあるのか」とか、「海里の兄夫妻がどうして、子供を持てないなんて目に遭わなくてはいけないのか」などと考えてしまった。
今回のテーマは、「異なるものを身の内に入れる」だろうか・・・?
そして、このシリーズ、海里の成長という軸と、もう一つ必ずある、あの世の方と思い出の料理のエピソード・・・
今回は淡海先生絡みであった。
淡海先生は、ちょっと他にはいない感じのキャラクターで、いつもその言動には、考えさせられると言うか悩まされてきた。
妹と離れてやっと乳離れした?。
もうこれ以上成長することはない、と言う純佳だが、ずいぶん成長したのではないか、むしろ兄よりは成長している、大人びていると思った。
これからの淡海先生への興味が高まる。
そして『花束をめぐる諍い』の全貌が気になる。
次回に持ち越しかな?
プロローグ
一章
二章
三章
四章
五章
エピローグ
ーーーーーーーーーーーーー
演劇のことは専門的には分かりませんが・・・
「カメレオン俳優」とか「憑依型俳優」などという言葉を耳にしますよね?
海里はここからどこに向かうのか。
今は、「自分は定食屋の従業員、芸能界とは縁を切りました」というスタンスで表向きを通している。
しかし、純粋な「演じたい」気持ちも高まっている。
じっくり付き合っていくしかありません。
Posted by ブクログ
生意気なことを言います。
今回のストーリーは本当に
よく練られたもののように感じました。
海里の抱える問題を軸に、彼に関わる人々の
それぞれの苦悩や課題が海里を触媒として
化学反応を起こしていく。
今回、私は海里という存在に、
何か特別なものを感じた。
海里がそこにいる。そのことで救われた人が
これまでどれほどいただろう。
海里は無自覚だし、夏神やロイドも。
海里自身の成長は周りから与えられるきっかけに
よるものだが、そのことで周りにも化学変化が
起こっている。そんな気がする。
Posted by ブクログ
プロローグ 一章 経験と芸の肥やし
ニ章 経験値を上げる方法 三章 魂の追跡
四章 踏み出すこと 五章 愛おしい喪失 エピローグ
美味しいものと物語は生きる力になります。
肩に置かれたロイドさんの手には、触れた重みや温かさがきっとあったことでしょう。
Posted by ブクログ
淡海先生と純佳さんの話、ここ何巻か淡海先生が厳しいと思っていたが、純佳さんさえいればなんでも良いと投げやりになっていたのだそうだ。
何巻にも渡って伏線をはるとはシリーズならではと感じた。
また、カイリが朗読することになってから、なかなか話が進まないのはちょっともどかしい。
Posted by ブクログ
海里の兄夫婦と母はいい関係を築き上げたのね。特別養子縁組のご縁があった時、この家族は子供を迎えてどんな家族になっていくのか楽しみ。淡海の中にいた彼の妹も旅立ちを決めたのね。淡海の作家らしい好奇心あふれる残酷さは絶対的な妹の存在に依存して作られてたのか。まあ彼女が消えても淡海先生は淡海先生らしくいるんだろうけど。
Posted by ブクログ
いよいよ朗読劇デビューに向けて
取り組み始めた海里。
作品は、このために淡海先生が書いた
ある夫婦の物語…ですが〜
演じるのがどうしても好きになれないキャラ。
そこで、海里は先生の取材に同行し
創作の一端に触れることに。
今回は、淡海先生と妹のおはなし。
初登場以来ずっと
「一緒に生きて」きた兄妹ですが
そろそろお別れの時がきたようです。
Posted by ブクログ
最後の晩ごはんシリーズ第15作。
夜だけ営業する〈ばんめし屋〉には、時折亡くなった人が現れる…。
この設定を忘れるような、海里始めドラマ要素が強かったここ数作だったが、今回は久しぶりに亡くなった人が現れる。
それは〈ばんめし屋〉の常連客で作家の淡海五朗が身の内に住まわせている妹。
メガネの付喪神・ロイドが、最近淡海の中に妹の気配が感じられないと言い出すことをきっかけに、淡海と妹との別れの物語が描かれる。
初期のシリーズ作品を思い出すような、記念のディナーと再出発の話。また過去の回で何故淡海が海里を傷付けるようなことが出来たのかも分かる。
もう一つの軸は、海里の朗読俳優としての葛藤。
淡海が朗読劇のために書き下ろした物語で、海里に当てられた役は二股男でそのことに罪悪感も持たないという、いわゆる悪役。
海里はどうしてもその役に感情移入出来ず、役作りが出来ない。
だが役者を目指す以上はどんな役柄もこなしていかなければならない。海里はこの難役をどう自分のものにするのか。
さらに今回は海里の兄夫婦にもドラマがあった。
夫婦としての苦しみや挫折と、そこを乗り越えての希望。
こういう苦しみや挫折を夫婦で乗り越え、海里の母もまた支えたことが微笑ましい。
そしてその苦しみを海里に見せることなく、乗り越えた後にサラッと報告する兄夫婦が良い。
今後どのような展開が待っているだろうか。
海里も淡海も今回を機に一皮剥けるだろうか。
夏神の出番は少ないが、ちゃんと見守ってくれている。
Posted by ブクログ
最後の晩ごはん、15巻目。
朗読劇の役になかなか入り込めない海里の苦悩の巻。兄夫婦の決断、そして淡海先生と妹純佳の別れ。そういえば最近淡海先生の妹出てこないなと思ってた。純佳は自分がこのまま兄の中にいることで、兄が純佳に依存しきってダメになっていくと気付き、自ら消えることを決意する。淡海先生は困った大人だけど、純佳は本当に兄想いのできた妹だ(私だったら、どんなに大好きな妹でも自分の中に一心同体でいられるのはかなり嫌だな…と思ってしまうけど)
海里の悩みに少しだけ光が見えたところで次巻へ続く。
豚ロースのはちみつ焼きがおいしそうだった。
Posted by ブクログ
朗読劇での役作りに悩む海里の姿と淡海に対する純佳の願いを軸に、「シェ・ストラトス」のマスター、淡海の取材相手、海里の義兄夫婦の挿話が挟まれている。折々にはさみこまれる料理がおいしそうで、食べに行きたくなる(レシピは載っているけど、自分で作るのは……)。このシリーズは真っ当な感覚で描かれているので読み心地がいい。