上田早夕里のレビュー一覧

  • 成層圏の墓標

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    ネタバレ

    短編、中編集。
    どれもこれもしんみりと、泣きたくなるような、それでいてSF度が濃い目でまさに射抜かれたという感想です。
    現実的な部分を踏襲しつつ、超非現実的な近未来(?!)でしかも、歴史をキチンと捉えつつ、読者の知識や記憶や想像力を熱く厚く、刺激を与えるこの一冊、私の記憶と記録に残る本となりました。
    「龍たちの裔、星を呑む」の中の一節、「龍の悠久の命と比べれば、人類の命は、日の出と共に葉の上から消えてゆく朝露に似たものだった。」という表現に納得。私達人類は朝露と同じ。
    SFファンタジーというか、超歴史もので人間よりも人間臭いひとつひとつ。短編集扱いしているのがもったいない!!

    0
    2025年05月29日
  • 破滅の王

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    難しいけど、読んで良かった。

    満州事変は歴史で教わったけど、
    そこに生きる人々に想いを馳せることが出来たのは、紛れもなくこの物語に出会えたから。

    当然のことだけど、満州と呼ぶことになる前から住んでいる人々がいて、後から移り住んだ軍人ではない日本人がいて、両者は交流をしながらその時代を生きていた。
    フィクションではあるけれども史実に基づいて描かれたところが多いそうで、その当時の国籍関係ない人々の想いに胸を打たれました。

    あとは何より、上海の繁華街の描写がうまいこと。
    時折出てくる上海料理の描写も食欲をそそられました。
    どの時代の人も、美味しいものを糧に生きていたんだなと思ったり。

    面白か

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    2025年05月06日
  • 魚舟・獣舟

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    どれも設定が素晴らしい珠玉のSFだった...
    タイトルの魚舟・獣舟はかなり荒唐無稽かつ複雑な設定なのにすんなり世界観を理解させる導入が凄い。著者の文章力の高さ、そして人間への解像度の高さがふんだんに発揮されていた。

    0
    2025年05月04日
  • 上海灯蛾

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    上田早夕里『上海灯蛾』双葉文庫。

    初読みの作家。非常に読み応えのある1934年の上海租界を舞台にした歴史ノワール小説だった。

    日本帝国陸軍が中国に侵攻し、満州国を建国し、さらに中国本土で支配を強めようとしていた時代。日本陸軍も中国軍も共に阿片で得た利益を軍事費に回そうと躍起になっていた。その隙間を埋めるかのように青幇をはじめとする有象無象が阿片の利益に蟻のように群がる。

    阿片という麻薬に人生を翻弄される日本人と中国人。所詮、長い歴史の中では僅か一瞬の出来事であるが、バタフライ・エフェクトの如く未来を少しだけ変えたのかも知れない。

    日本人はロシアのウクライナ侵攻を非難しているが、かつては

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    2025年03月27日
  • 華竜の宮(下)

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    ネタバレ

    良かった。ほぼ政治劇でしたね
    とりあえずスカッシュやりてえわ

    「華竜の宮」は映像で見たいですねえ
    宇宙も怖いけど地球もふつうにこえーわ。なんで過ごせてるんだ俺たち

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    2024年11月18日
  • 華竜の宮(下)

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    後半にかけて読むのが止まらない。世界観が好みなのもあってか本当に面白かった。ドキドキしながら読み進めた。読後感がとても良い。また日を置いて最初からじっくり読み直したい。

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    2024年11月13日
  • 華竜の宮(上)

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    高校生のときに初めて読んだSF小説。今まで人間ドラマがメインの本しか読んでこなかったが、抵抗なく読み進められた。SFといってもこの本はファンタジー要素が多いように思える。
    AIとの共存がこのような人とのバディという形で叶うのであれば、(私は)とても理想的だと感じた。登場する人物、AI、生物がどのような姿形をしているか想像しながら読むのが楽しい。

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    2024年11月13日
  • リラと戦禍の風

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    不思議な話だった。
    実際の戦争をベースにしているのに、魔物の目を通しているせいか、ベタベタした残虐さはない。
    視点がよく変わるのに、精一杯生きたひとたちだから、ひとりひとりに引き込まれる。
    毎回、もっともっと長編で書いてもらえないかなあ、と思ってしまう。
    読み終えたくなかったなあ。

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    2024年09月05日
  • 破滅の王

    購入済み

    生物兵器の恐ろしさを知る

    戦時中の細菌兵器を巡る小説。
    作り利用する側と止めようとする側。それぞれの立場や信念がぶつかったり、作用し合いながらうねっていく。面白かった。

    #深い

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    2024年09月05日
  • 破滅の王

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    評価は文句なしの星5「以上」。
    なぜ星が5つまでしかないのか!と
    理不尽に怒ってしまうほどの作品です。

    山﨑豊子さん、高村薫さんを彷彿させ、
    いやそれ以上かと思わせてくれる
    戦時中の闇を描いた超大作と言えよう。

    膨大な資料と取材を元に描き出した
    人間たちのドラマは作者の魂の叫びか
    魂を削るかのような圧倒的な力を宿し
    作品の中に凝縮されている。

    とはいえ、これは読む人を選ぶ作品だな
    というのもまたしかり。
    日本の歴史観も影響するし、
    エンタメが好まれる昨今の風潮、
    戦争を想像できない世代との意識格差など、
    これは万人には理解できないなぁと。

    でも、である。
    省略の美学とも言える
    淡々とし

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    2024年04月28日
  • リリエンタールの末裔

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    ネタバレ

    オーシャンクロニクルシリーズの3冊目(?)。
    シリーズについての下調べをしていなかったので、購入時はこれがシリーズ最初の長編だと思っていたが、読んでみると短編集で、『華竜の宮』よりも後の発表だったようだ。
    ということでシリーズとしては『華竜の宮』が最初の長編だった。

    公式にはつながりが明言されていない短編の作品群だが、どれも海・近来の(有機的な)テクノロジーが印象的な作品で、それぞれがオーシャンクロニクルシリーズの「同じ時間軸の別の時期の前日譚なのでは?」と思わせるものが多かった。
    感想を書くのが半年以上後になったので、詳細は忘れてしまっているが「作者の感性が優れている」、「この感性が好きだ

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    2024年04月18日
  • 破滅の王

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    破滅の王
    すごい作品でした。
    静かに、だが圧倒的な力で
    迫りくる作品に
    ただただ声をあげるしかできません。

     最初から最後まで
    一字一句に込められた力、表現力、また文章の美しさを堪能できる
    これほどまでの作品に出会えたことを嬉しく思います。

     

     夫の積読が気になり、予備知識なく読み始めて
    惹かれた理由に納得。
    子どもの頃に父の本棚に隠すようにあった731部隊の書物を夢中で読んだ頃が甦り、
    幼い日に戻るように今回も夢中で
    そして決して読み逃すまいと読み進めていました。

     

     おそらく、今後の読書生活の中でも間違いなく上位に入る作品です。

     ☆5ではなく☆10をつけます。

     

     

    0
    2024年04月18日
  • 播磨国妖綺譚 伊佐々王の記

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    失敗して前の巻があるのに気づかずに読んでしまった。でも違和感なく読み進めて、半分以上読んだところで作者紹介のところで気づいた。室町時代、薬師と僧侶の兄弟。淡々と人々に寄り添い、傷ついたり病にかかった人々を助け、妖怪に対処する。途中で急に猿楽の「鵜飼」の話になったりしながら進むのが面白い。いかにも続きがある様子で終わっていて、後も気になるけど、それより前巻を読まないと!

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    2024年04月17日
  • 魚舟・獣舟

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    ネタバレ

    表題作は最初の33ページ。この作品だけでも良いと思い買った。
    華竜の宮を読んでいるので世界観や背景は分かっている。火薬で魚舟を傷つけるところは「ああ・・」となった。獣舟が進化する描写も良く、買った甲斐があったと思った。
    華竜の宮では見られなかった魚舟に対するドライな感情を持った人物が主人公であったので、共感する部分があった。遺伝的にイジられているとはいえ「皆が皆魚舟に執着するわけでは無いだろう」と思っていた違和感が払拭された。
    他の作品を読んでからでないと分からないが、この作者の作品はいつも悲しい。物語の背景に悲しさや寂しさが濃淡を変えながら漂っている様に感じる。

    解説には「傑作(短編)選」

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    2024年03月24日
  • 播磨国妖綺譚 あきつ鬼の記

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    地元の物語、「播磨」の文字に興味を惹かれて手にとった、読み進めるとこれがしっくりくる、地元ならではの地名や歴史も反映されて親しみが溢れる、私が先週末に訪問した広峰神社、現地に着くと不思議な気分になり今後の展開に興味が湧く、著書の内容についても興味深い何処か心地よさを感じてしまう。時は室町時代、怪異や妖のものが登場、派手な退魔や戦闘などは一切なく、どちらかというとほのぼのとした進み方、童話で覚えている「泣いた赤鬼」や多くの昔話しに出てきそうな「神」の描き方、自然と人間との共存などこの世界観を楽しめた、登場人物や関係性にも注目、「安倍晴明や蘆屋道満」陰陽師を基にそれぞれ特異の能力を備えた二人の兄弟

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    2024年03月10日
  • 華竜の宮(上)

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    ネタバレ

    積ん読くずし

    面白い!
    描かれてる科学や技術は専門外であまり興味は持てていないが、話が面白い!
    青澄、ツキソメ、タイフォンの全員がキャラ立ってていいね
    汎アがわりと中心的舞台なので、中華系SFの情景が浮かぶなあ

    この世界で災厄を逃れた大型コンピュータって一つだけ(シャドウランズ)なのかな
    ああいうとこって電気が必要で、とすると水も必要なので、災厄で沈みやすい傾向にはあるのかなあと

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    2024年03月06日
  • 華竜の宮(下)

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    下巻は一気に読んだ。面白くなると、読むスピードがどうしても速くなってしまう。だから文庫版を選択して電車で読む作戦にしたのだが、目的の駅を何度通り過ぎたか。

    今年(2024年)に入って直ぐに北陸で大地震が起きた。しかし復興支援は不十分。オリンピック誘致で国の金を湯水のように使ってIOCに賄賂を渡し続けた奴が知事をしているのだから、進むものも進まない。国もただ金を出すだけで、どの様に有効に使うべきかが判らないため非効率的な支援しかできない。とどのつまりが、GO TO トラベルまがいの旅行支援をまたも行おうとしている。これじゃあ、復興なんて夢のまた夢。そのくせ、バラマキキシダこと増税メガネはウクラ

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    2024年02月21日
  • 播磨国妖綺譚 あきつ鬼の記

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    単行本で読んで気に入っていた作品が文庫化したので再読。やはりイイなあ。念願の続編刊行も!嬉しすぎる♪

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    2024年01月15日
  • 華竜の宮(下)

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    黙示録的な展開であるにも関わらず、鬱展開にならないのは青澄を始めとする最善を尽くそうとする人々の奮闘と希望に満ちているからだろう。
    原作版「ナウシカ」のようなニヒリズムが無いところも読後感が良い理由なのかも知れない。

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    2023年07月01日
  • 華竜の宮(上)

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    地球規模の大災害の後、人工的に人類や他の生命体を作り変えて無理矢理凌ぐ…という発想は、原作版ナウシカを彷彿とさせる。

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    2023年06月29日
OSZAR »