作品一覧

  • 武器としての土着思考―僕たちが「資本の原理」から逃れて「移住との格闘」に希望を見出した理由
    4.4
    1巻1,980円 (税込)
    青木君の文章と思考はつねに揺らぎ、葛藤している。決して単一原理に執着すまいというつよい決意が彼の文体に『過剰なまでの節度』(そんなものがあるのだ)を与えている。――内田 樹 奈良県東吉野村への移住実践者で、人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」主催者による「土着」論。「都市の原理」と「村の原理」に折り合いを付けながら、いかに世間へ「ルチャ」(格闘)を仕掛けるか。若き在野研究者が綴る、生きる勇気が湧いてくる「逆」自己啓発書。 相手と関係をつくり、その関係の中でいかに生きていくか。この「相手」には、自分の中の「うまくコントロールできない自分」も含まれています。この相手とともにどう生きていくか。それこそ、僕が考える「闘い」(スペイン語でルチャ)です。だから本書で述べている武器とは、相手の技を受け、さらに強い技で返すことで生命力を高め合うような、「相手がワルツを踊ればワルツを、ジルバを踊ればジルバを」というかの名言にもあるような、「相手があってこその生」を築いていくための思考法のことなのです。本書では、相手との競争に勝つための武器を個別具体的に提示するのではなく、さまざまな事例を取り上げながら、「僕たちの闘い方」を一緒に考えていくことを目的としています。――「はじめに」より ある程度長く生きていれば分かるように、競争した相手が味方になったり、時には味方が敵になったりすることがあります。もしくは大切なプレゼンや試験や試合の前の日に限って眠れなかったり、うまく話しかけたいのにその場に行くと言葉が出てこなかったり、「自分のことが嫌い」という人は「自分こそが一番の敵」だと思っているかもしれませんね。むしろ、相手がいるからこそ僕たちは闘うことができる。相手がいるからこそ僕たちは生きていくことができる。この考え方こそ、巷で「茶番」の比喩として使われるのとは全く異なる、本当の意味での「プロレス的思考」です。馬場がいたから猪木があった。長州と藤波、小林と佐山、山田と佐野、棚橋と中邑も同様でしょう。決して二人ではなく、武藤、橋本、蝶野などといった三人の場合もあるかもしれない。分かる人にしか分からない例えですみません。――「はじめに」より
  • 撤退論
    3.7
    1巻1,870円 (税込)
    少子化・人口減、気候変動、パンデミック……。国力が衰微し、手持ちの国民資源が目減りしてきている現在において「撤退」は喫緊の論件。にもかかわらず、多くの人々はこれを論じることを忌避している。 名著『失敗の本質』で言われた、適切に撤退することができずに被害を拡大させた旧・日本陸軍と同じ轍をまた踏むことになるのか? 「子どもが生まれず、老人ばかりの国」において、人々がそれなりに豊かで幸福に暮らせるためにどういう制度を設計すべきか、「撤退する日本はどうあるべきか」について衆知を集めて論じるアンソロジー。 目次 まえがき 内田樹 ■1 歴史の分岐点で 撤退は知性の証である──撤退学の試み 堀田新五郎 撤退のための二つのシナリオ 内田樹 撤退戦としてのコミュニズム 斎藤幸平 民主主義からの撤退が不可能だとするならば 白井聡 撤退戦と敗戦処理 中田考 ■2 撤退の諸相 撤退という考え方──ある感染症屋のノート 岩田健太郎 下野の倫理とエンパワメント 青木真兵 音楽の新しさはドレミの外側にだって広がっている 後藤正文 文明の時間から撤退し、自然の時間を生きる 想田和弘 撤退のマーチ 渡邉格 撤退女子奮闘記 渡邉麻里子 ■3 パラダイム転換へ 『桜の園』の国から 平田オリザ ある理系研究者の経験的撤退論 仲野徹 Withdrawalについて──最も根っこのところからの撤退 三砂ちづる 個人の選択肢を増やす「プランB」とは何か 兪炳匡 極私的撤退論 平川克美
  • 手づくりのアジール
    4.5
    1巻1,980円 (税込)
    青木君たち、やっていることは「けっこう極端」なんだけれど、言葉の手ざわりがとてもやさしい。 だから話をずっと聴いていられる。──内田樹 注目の在野研究者・移住者・図書館主宰者による土着人類学宣言! あたらしい人文知はここからはじまる。 市場原理主義や、社会に浸透する高度なテクノロジーによる管理化に飲み込まれず、地に足がついたまっとうな生き方をするためには、社会のなかでの「アジール(避難所)」を自分たちの手で確保することが必要ではないか。 ・スピードが最優先される「スマート化」にどう抗うか? ・これからの「はたらく」のかたちとは? ・研究と生活をどう一致させるか?…… 奈良の東吉野村で自宅兼・人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」を主宰する著者が、志を同じくする若手研究者たちとの対話を通じて、「土着の知性」の可能性を考える考察の記録。あたらしい人文知はここからはじまる。 ぼくらの直感は合っていました。合っていたからと言って世界が劇的には変わるわけではないのだけれど、でももうちょっと、この「土着の知」とも言うべき人間の生き物としての部分を認めないと、ぼくたちは生き残ることができないのではないか。社会を維持することだってできないのではないか。本書は『彼岸の図書館』で言語化でき始めたこの直感を、同年代の研究者と共有し、意見交換した記録です。(「はじめに」より) 【目次】 「闘う」ために逃げるのだ──二つの原理を取り戻す 対話1 逃げ延びるという選択 栢木清吾×青木真兵×青木海青子 対話2 これからの「働く」を考える 百木漠×青木真兵 「最強」とはなにか──山村で自宅を開くこと 対話3 「スマート」と闘う 藤原辰史×青木真兵 対話4 土着の楽観主義 竹端寛×青木真兵 手づくりのアジール──「自分のために」生きていく 対話5 生活と研究 磯野真穂×青木真兵 対話6 ぼくらのVita Activa——マルクス・アーレント・網野善彦 百木漠×青木真兵 山村デモクラシーII
  • ポストコロナ期を生きるきみたちへ
    3.5
    1巻1,760円 (税込)
    コロナ・パンデミックによって世界は変わった。グローバル資本主義の神話は崩れ、医療や教育などを「商品」として扱ってはならないことがはっきりし、一握りの超富裕層の一方で命を賭して人々の生活を支える多くのエッセンシャルワーカーが貧困にあえぐ構図が明らかとなった。私たちは今、この矛盾に満ちた世界をどうするかの分岐点にいる。この「歴史的転換点」以後を生きる中高生たちに向けて、5つの世代20名の識者が伝える「生き延びるための知恵」の数々。知的刺激と希望に満ちたメッセージ集。 こんなに誠実な大人たちから、地球を引き継げるワクワクをあなたへ。 ──山邊鈴(長崎県立諫早高校3年/「この割れ切った世界の片隅で」作者) 「ウイルス一つによって、わずか数ヵ月の間に、ほんの昨日までこの世界の「常識」だと思われていたことのいくつかが無効を宣告されました。それがどのような歴史的な意味を持つことになるのか、人々はまだそのことを主題的には考え始めてはいません。日々の生活に追われて、そんな根源的なことを考える暇がありませんから。でも、中高生たちはこの「歴史的転換点」以後の世界を、これから長く生きなければなりません。彼らに「生き延びるために」有益な知見や情報を伝えることは年長者の義務のひとつだと僕は思います」(まえがきより) 【目次】 まえがき 内田樹 ■1 Letters from around 30 ポストコロナにやってくるのは気候危機 斎藤幸平 楽しい生活──僕らのVita Activa 青木真兵 これからの反乱ライフ えらいてんちょう ■2 Letters from over 40 君がノートに書きつけた一編の詩が芸術であること 後藤正文 技術と社会──考えるきっかけとしての新型コロナ危機 白井聡 「タテ、ヨコ、算数」の世界の見方 岩田健太郎 支援の現場から考える、コロナ後の世界 雨宮処凛 「大学の学び」とは何か──「人生すべてがコンテンツ」を越えて 増田聡 ■3 Letters from over 50 コロナで明らかになった日本の最も弱い部分──対話・エンパシー・HOME 平田オリザ コロナ禍と人間──私たちはどう生きるのか 想田和弘 台風とコロナ・パンデミックは同じか? 俞炳匡 図太く、しぶとく、生きてゆけ──誰も正解を知らない問題にどう答えを出すか 山崎雅弘 ■4 Letters from over 60 医療が無料であること 三砂ちづる 人生100年時代、ポストコロナはダブルメジャーで 仲野徹 メメント・モリ──思いがけない出会いに開かれているために 中田考 ディレンマの知性 釈徹宗 ■5 Letters from over 70 ポストコロナ期における雇用について 内田樹 自分に固有の問題を考えること 池田清彦 コロナと価値のものさし 平川克美 マスクについて 鷲田清一
  • 武器としての土着思考―僕たちが「資本の原理」から逃れて「移住との格闘」に希望を見出した理由

    Posted by ブクログ

    ルチャ・リブロを夫婦で運営している青木さんによる「土着」について論じている本。青木さんの文章は、我々が日々生きていく中で忘れていたことを思い出させてくれるような懐かしい気持ちになります…特に2章の”売り物にならないからと言われても、自分の人生を手づくりしていく。”と、4章の障害者への就労支援について、”就労支援とは、人が社会と折り合いをつけるサポートをする仕事だと思っています。”のところが印象的でした。

    0
    2024年08月16日
  • 武器としての土着思考―僕たちが「資本の原理」から逃れて「移住との格闘」に希望を見出した理由

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    当たり前のことに立ち戻らせてくれる本。

    「世の中は商品で構成されている」ことや「別の原理が働く世界」に蓋をしていることに立ち止まらせてくれる本。自由の幅の広さを示してくれる本でもあると思う。わかりやすく言うと、世界が広がる感じ。

    土着とは、
    第1章
    自分にとっての「ちょうどよい」を見つけ、身につけること。
    資本の原理が支配する世界ではない別の世界に好きな時に移れるようになること。
    自分の感性を「手づくり」すること。
    第2章
    その状況に応じて適した手段を選べること。(都市に住みながら地域社会の中で生活することなど)
    自分にとっての「ちょうどよい」を見つけ、手放さないこと、そのためには手段を選

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    2024年07月20日
  • ポストコロナ期を生きるきみたちへ

    Posted by ブクログ

    (2022/1/8)
    2020年、まだコロナ第2波くらい、オリンピック延期、という段階で書かれたアンソロジー。

    日本の知性が集結している。多くの方が参加している。

    読み始めたとき、それぞれのお名前の横に簡単な肩書しか書かれておらず、

    もう少し人物紹介すればいいのに、、、と思ったのだが、巻末にまとめて紹介されていた。

    この本は中高生向きなので、それぞれの著者を知らない可能性が高く、人物紹介が長いとかえって予断を持って読み始めてしまうので、避けたのかな、と推察。

    私は彼らの著作を結構読んでいるので、背景を知って読むとより立体的に読めた気がする。

    一つ一つのコラムにコメントをするのは野暮

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    2024年05月21日
  • 撤退論

    Posted by ブクログ

    現在のシステムの潮流でのカタストロフィの生じる前の方向転換を撤退論としている。
    コモンの再生と撤退ということで、斎藤幸平が、『資本主義から撤退して里山に行くだけでは不十分。何故ならそのままでは、資本主義が里山を含めた環境を破壊するから。』と言っていたところに納得。彼はだからこそ資本主義は止めなければならないという。当方はまだ、サステナビリティは社会という形での対応が必要と思っている。戦争、技術進化などに対応する上で、経済を止め切ることはできないと思うため。

    撤退とは、単に行くか戻るかの二者択一を意味しない。そのような二者択一を自分に迫っている世界観とは、全く異なる世界観へのパラダイムシフトを

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    2023年05月03日
  • 手づくりのアジール

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    都会に住んでハウツー本を片っ端から読んでこういう本を読むってどうなのよ、でもなんかすごい。この本で紹介されてる本を読もうという気になってきた。
    社会から離れたところに身を置く。他者が自分との違いを確認できる相手である必要はない。自分と比較不能な他者の中に身を置く。生きていることもあれば死んでいることもある。意見を変えてもいい。みんなが考えない社会がいい社会という感覚への違和感。

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    2023年01月14日

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