心淋し川

心淋し川

649円 (税込)

3pt

江戸、千駄木町の一角は心(うら)町と呼ばれ、そこには「心淋し川」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、人生という川の流れに行き詰まり、もがいていた。青物卸の大隅屋六兵衛が囲っている年増で不美人な妾のおりきは、六兵衛が持ち込んだ張形をながめているうち、悪戯心から小刀で仏像を彫りだし…(「閨仏」)。飯屋を営む与吾蔵は、根津権現で小さな唄声を聞く。荒れた日々を過ごしていた与吾蔵が捨ててしまった女がよく口にしていた唄だった…(「はじめましょ」)など、生きる喜びと哀しみが織りなす全六話。第164回直木賞受賞作。

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心淋し川 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    心をうらと読んで、心淋し川(うらさびしがわ)
    なんと吸引力のある名前だろう。
    その川の元へ流れ着いてきたのは、苦みや渋み、酸っぱさを体の深いところに染みつかせてきたような人たち。
    清らかとはいえない淀みのある川。けれどその周囲には、人の体温のようなものがあった。
    人の業(ごう)やわびしさを含めて、し

    0
    2024年08月30日

    Posted by ブクログ

    こころさびし、ではなく、うらさびし、と読む。
    根津近くの小川を心淋し川というらしい。
    遊郭の界隈と裏腹に寂れたボロ裏長屋の人情もの。連作短編。
    一作一作、独立しているが、一本通る柱があり、最後にさりげなく収束。
    哀歓とちょっと背筋が冷える話と、バリエーション豊か。
    直木賞受賞もさすがです。
    しみじみ

    0
    2024年04月04日

    Posted by ブクログ

    直木賞受賞に相応しい作品と思います。
    訳ありの人々が集い暮らす吹き溜まりのような町の日常を住人の生き様を通じて描かれています。事情は違えど心に空いていまった「淋しさ」という穴の始末を抱えながら日々を送る面々。善悪、幸不幸など関係なく己の価値観のみを拠り所に心の穴を埋めるためにもがく姿を思い浮かべなが

    0
    2024年02月06日

    Posted by ブクログ

     時代小説と覚悟して読みましたが、非常に読みやすく、また、1話1話が味わいが深くて、心にじんわりときました。とても面白かったです。

     全話、どこか陰湿で、自身ではどうしようもない感じが漂っていましたが、それが良かったです。各話、微妙に繋がりのある人物が出てくるのも面白かった。

     私的には閨仏が1

    0
    2024年01月25日

    Posted by ブクログ

    ようやく文庫本として手に取る事が出来る僥倖。もうすっかり愛読書の西條奈加さんですが、もっと凄い深い作品がたくさんあるから 不思議なんだよ、芥川賞はタイミングなんかなぁ、心町の名前も良いし町屋じゃない謂れもだし、ここから逃れたいと思う人々 心淋しの川の言葉だけで凄い作家だなぁとしみじみ思う 西條奈加さ

    0
    2024年01月18日

    Posted by ブクログ

    千駄木町に一角にある心町(うらまち)。その吹き溜まりのような長屋で暮らす人々のそれぞれの人生の心に沁みる物語り。

    0
    2024年01月14日

    Posted by ブクログ

    3.8。

    心淋し川
    閨仏
    はじめましょ
    冬虫夏草
    明けぬ里
    灰の男
    の6編からなる連作短編小説。

    初めての時代小説だったけれど、抵抗なく入り込めた。江戸時代の庶民の暮らしを想像しながらまた一つ世界が広かった感じ。

    直木賞受賞作というだけあってどれもよいはなしだったが、私的には閨仏と明けぬ里がお

    0
    2025年01月24日

    Posted by ブクログ

    心町(うらまち…裏町が転じてこの字になったという)の貧乏長屋に住む住人たちのお話
    住人曰く塵芥の吹き溜まりのような場所
    そんなところに住んでいる老若男女、皆事情を抱えていますが、幸せな話も壮絶な話もゾッとする話もあります。
    そして最終章のまとめ方がとても綺麗。
    各章でいい味を出している人物の話を

    0
    2024年09月13日

    Posted by ブクログ

    小さなドブ川沿いに暮らす人々。一番良かったのは「はじめましょ」かな。飯屋を営む与吾蔵が出会った幼い女の子。自分が昔捨てた女との再会、明かされる事実。三人の明るい未来を予感させるものだった。怖かったのは「冬虫夏草」。母の息子への歪んだ愛情、息子の理不尽さはそんな母へのせめてもの抵抗なのか。「灰の男」長

    0
    2024年08月08日

    Posted by ブクログ

    千駄木町の一角、心町(うらまち)。そこに流れる川の名前は心淋し川(うらさびしがわ)という。
    趣があるのは名ばかりで淀んで汚くすえた臭いがする川である。
    その川のどん詰まりにある貧乏長屋には心に淀みを持った訳ありの人々が暮らしている。
    そこに住む訳ありの人々と差配の茂十の話だが、どの人も生き辛い悲しみ

    0
    2024年07月21日

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